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事例・ノウハウBlog


医療機関ウェブサイト広告規制 ~施⾏から8年の成果を調べてみた~

2018年6月1日に改正医療法が施行され、医療広告ガイドラインの運用がスタートしました。
2023年4月に5年間の成果について下記記事を書きましたが、約8年が経過した2026年現在、医療広告ガイドラインの成果はどうなっているのか、最新のデータをもとに見ていきたいと思います。

医療機関ウェブサイト広告規制 ~施⾏から5年の成果を調べてみた~

ネットパトロールの概況

まずは、医療機関ウェブサイト等の監視を目的として厚生労働省が実施している「医療機関ネットパトロール」の概況について見ていきましょう。

厚生労働省が2026年2月28日時点の情報を元に公表した年度別の通報受付件数の推移は以下の通りです。

通報受付件数の推移

項目 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度※
通報受付件数 14,315 4,854 7,052 6,324
医療広告関係 4,646 2,214 2,926 5,009
審査対象(重複除外後) 967 715 849 1,766
医療広告以外 9,669 2,640 4,126 1,315

※2025年度(令和7年度)は2026年2月28日時点の集計データ

通報件数は一時減少傾向を見せたものの、2024年度以降は増加に転じており、特に2025年度は「医療広告関係」の通報や「審査対象」となるサイト数が大幅に増加しています 。

また、2025年度のネットパトロール全体対応状況(2026年2月28日時点)を見ると、以下のようになっています。

2025年度の対応状況(審査実施2,092サイト)

違反なし 250サイト
違反あり 1,842サイト
対応完了(改善・広告中止) 1,238サイト
医療機関対応中 581サイト
自治体へ情報提供(改善指導等を依頼) 377サイト
(うち自治体指導により改善・広告中止: 14サイト / 継続対応中: 363サイト)

違反が確認されたサイトのうち、約7割にあたる1,238サイトは自主的な改善や広告中止に至っており、ネットパトロール事業による初期対応・指導自体は一定の成果を上げています。

しかし、自治体へ指導依頼が送られた案件では、改善完了が14サイトにとどまり、363サイトが「継続対応中」として残っているなど、自治体が引き継いだ後のスピード感や対応の難しさが依然として課題となっています。

なお、2025年度以降の取り組みとしては、急増する通報や複雑化する広告手法に対処するため、ネットパトロール事業における「AIスクリーニング」の導入や、従来のWebサイトに加えSNS広告への監視網拡大が進められています。

自治体での対応状況

医療広告ガイドラインでは、自治体による指導に従わない悪質な事例に対し、中止命令や是正命令、さらには告発や行政処分を行える規定が整備されています。

厚生労働省の検討会等でも繰り返し指摘されていますが、「6か月以内をめどとして、違反広告を行った者に対して措置命令を実施する」というひな形を作成したのにもかかわらず、自治体より「指導の期限を切っていくのが難しい」との声があり、依然として中止命令や告発、罰則の適用に至った事例はないのが現状です。

第7回 医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会 議事録

美容医療に関する相談件数

医療広告ガイドライン策定の最大の目的の一つは、不適切なWebサイトやWeb広告に誘引されて発生する「美容医療に関する消費者トラブル」を削減することでした。

独立行政法人国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された、美容医療サービスに関する相談件数の推移を見てみます。

PIO-NETに登録された美容医療相談件数の推移

項目 2023年度 2024年度 2025年度
相談件数 6,281 10,744 7,944

2023年度から2024年度にかけて相談件数が1万件を超えるなど大幅に急増しました。SNS動画広告やインフルエンサーを介した巧妙な集客、カウンセリング時の強引な高額契約などが大きな要因とされています。

2025年は7,944件と前年度より減少傾向を見せたものの、ガイドライン運用開始初期(2,000件前後)と比較すると依然として非常に高い水準で推移しています。

最後に

2026年現在の最新状況をまとめましたが、ネットパトロール側ではAIの導入やSNS監視の強化、審査件数の増加など技術的・運用面での進展が見られ、通知を受けた医療機関の自発的な改善事例も多く出ています。

ただ、自治体へ引き継がれた後の是正対応の遅れや、SNS等で巧妙化する広告に起因した美容医療トラブル相談の急増など、解決すべき課題は山積みです。単なるWebサイトの一次チェックにとどまらず、自治体の指導実効性の強化や、多様化するSNS広告全体への迅速な対応が今後さらに求められています。

この記事を書いた人

鈴木 良直
鈴木 良直ソリューション事業部 部長
大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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