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事例・ノウハウBlog


AI検索の普及で大学サイトのアクセスはどう変わったか──8大学の実データから見えた変化と対策

大学の広報担当者様から「最近、サイトのアクセス数が減っている」とご相談をいただくことが増えてきました。

弊社では大学サイトの制作を多数担当しており、実際に弊社クライアント8大学のGoogle アナリティクス 4(以下GA4)でデータを確認したところ、7大学で前年同月比マイナスという結果が出ました。
その背景にあるのは、ChatGPTやPerplexity AI、Google AI Overviewといったいわゆる「AI検索」の普及です。

本記事では、8大学の実データをもとにアクセス減少の実態と要因を分析し、大学サイトで取り組める対策を解説します。

この記事でわかること

・AI検索の普及が大学サイトのアクセス減少にどう影響しているか
・弊社クライアント8大学の実データで見えた「減少の実態と主因」
・唯一アクセスが増加した大学Hの要因分析
・大学サイトで今すぐ取り組める対策4つ

なぜAI検索がwebサイトのアクセスに影響するのか

まず、AI検索がどのようにWebサイトへの流入を変えるのかを整理しておきましょう。

従来の検索では、ユーザーはキーワードを入力して表示されたリンクをクリックすることで、各サイトへアクセスしていました。ところが、ChatGPTやPerplexityのようなAI検索ツールでは、質問に対してAIが直接回答を生成するため、サイトを訪れなくても情報の取得が完結してしまいます。

「○○大学のオープンキャンパスはいつ?」「△△大学の学費はいくら?」といった受験生が日常的に調べるような情報は、まさにAIが得意とする領域です。

Googleの検索結果ページにもAI生成の回答が表示される「AI Overview」が普及しており、検索上位に表示されていても、リンクがクリックされないまま情報を取得する「ゼロクリック検索」がさらに広がっています。

これらのツールが急速に普及した2024年以降、大学サイトの流入構造に変化が起き始めています。

調査概要

  • 調査対象:弊社クライアントの8大学
  • GA4での対象データ種目:表示回数、流入チャネル(※1)別データ
  • GA4での比較期間:2025年5月と2026年5月のそれぞれ1ヵ月間(前年同月比)

(※1)webサイトへの流入経路

あわせて、Google Trendsで「大学 オープンキャンパス」の検索関心度推移(2021年〜2026年)も確認しています。

検索関心度は2022年をピークに低下傾向

まず、大学サイトへの流入のきっかけとなる「大学 オープンキャンパス」というキーワードがどのように検索されているかをGoogle Trendsで確認しました。

検索関心度を年間ごと(7月〜翌6月までの1年)で集計すると、以下のように推移しています。

期間 年間スコア合計
2019〜2020年 207
2020〜2021年 122
2021〜2022年 213
2022〜2023年 275
2023〜2024年 265
2024〜2025年 240
2025〜2026年 238

2022〜2023年をピークに、年間合計のスコアは緩やかに下がっています。月間ごとでは、特にオープンキャンパスが集中する7月のピーク値が、2022・2023年の100から、2024年には78まで低下しました。

「大学を探す」「オープンキャンパスを調べる」という情報収集行動が、従来の検索エンジンからAIツールへ少しずつ移行していることがうかがえます。

多くの大学でアクセスが前年同月比マイナスに

次に、8大学のGA4データから表示回数の前年同月比を見てみましょう。

大学  前年同月比
大学A ▼ 9.6%
大学B ▼ 22.3%
大学C ▼ 7.7%
大学D ▼ 3.5%
大学E ▼ 15.9%
大学F ▼ 18.7%
大学G ▼ 9.8%
大学H ▲ 40.8%

※前年同月比は2025年5月と2026年5月を比較

大学Hのみがプラスで、それ以外の大学はマイナスという結果になりました。地域や規模、大学の種別を問わず広く見られる傾向で、個別の大学事情というよりも、業界全体に共通する構造的な変化と捉えるべきかもしれません。

大学Hの大幅増加については、後の章で詳しく触れます。

流入チャネル別に見ると「自然検索(※2)の減少」が主因

(※2)自然検索(オーガニック検索)
GoogleやYahoo!などで、広告費を払わずに表示される検索結果からの流入です。webサイトへのアクセスの多くを占めています。

今回、各大学の流入チャネル別データも分析したことで、「どこからのアクセスが減少しているのか」が明確になりました。

大学 自然検索 前年同月比 自然検索 比率
大学A ▼ 2.8% 67.6%
大学B ▼ 2.0% 81.2%
大学C ▼ 16.3% 69.5%
大学D ▼ 1.3% 74.6%
大学E ▼ 15.6% 81.2%
大学F ▼ 10.0% 76.4%
大学G ▼ 8.9% 79.1%
大学H ▲ 32.4% 74.6%

※前年同月比は2025年5月と2026年5月を比較

大学Hを除く7大学の自然検索は、前年同月比で平均8.1%減少しています。各大学とも、表示回数の70〜81%を自然検索が占めていることを踏まえると、この減少がサイト全体のアクセス低下の主因と考えられます。

検索エンジンでの順位を維持していても、ユーザーがリンクをクリックせずAIの回答で完結している可能性があり、SEO対策だけでは解決が難しい状況になってきていると言えます。

なぜ大学Hだけが増えているのか

大学Hは今回の調査の中で唯一、自然検索・自然検索以外も含む全体ともに増加という結果でした。ページ別データと受験生サイトに絞ったチャネル別データを追加で分析したところ、増加の主因が見えてきました。

受験生サイトへのDisplay広告(※3)が主因

(※3)Display広告(ディスプレイ広告)

Webサイトやアプリにバナーやテキストとして表示される広告です。検索キーワードではなく、ユーザーの属性や閲覧履歴をもとにターゲットを絞って表示されます。
ページ別のアクセスを見ると、受験生向けコンテンツのアクセスが大幅に増加していました。

受験生向けコンテンツへのアクセスは前年同月比で約4倍に増加し、入試・奨学金ページも大幅な増加を示していました。

一方で在学生向けコンテンツは比較的安定した増加にとどまっており、受験生層からの流入が全体を押し上げていたことがわかります。

受験生サイトに絞ってチャネル別データを確認すると、増加の要因がより明確になります。

2025年5月時点では受験生サイトへのDisplayチャネルの流入はほぼゼロでしたが、2026年5月にはDisplayが全体の約37%を占める主要チャネルに変化していました。

一方で自然検索からの流入も受験生サイトに絞ると約29%増加しており、広告出稿によってブランド認知が高まり、指名検索が増えた可能性が考えられます。

同じ分野の大学(大学G)との比較

今回の調査対象には、大学Hと同じ分野の大学(大学G)が含まれています。

大学Gのオープンキャンパスページのアクセスは前年同月比で約56%減少しており、サイト全体も約8%のマイナスでした。この差は広告出稿の有無が主因です。

大学H 大学G
サイト全体 前年同月比 ▲ 40.8% ▼ 9.8%
OCページ 前年同月比 ▲ 約300% ▼ 約56%
Display広告(OCページ) あり(2026年5月より) なし

同じ分野の大学ながら、広告の有無でこれだけの差が生まれています。

AI検索の普及により受験生の自然検索からのサイト流入が全体的に減少傾向にある中、Display広告によって自大学への関心を持つ受験生を受験生サイトへ誘導できた点が、大学Hの結果を大きく左右したと言えます。

今後の対策について

AI検索の普及に伴い、近年「AIO(AI検索への最適化)」という概念が注目されています。

SEOが「検索エンジンで上位に表示されること」を目的とするのに対し、AIOは「AIの回答に自サイトの情報が引用・参照されること」を目的とした取り組みです。

ChatGPTやPerplexity、Google AI Overviewに自大学の情報が正確に引用されるようになれば、ゼロクリック検索の増加によるアクセス減少の影響を和らげる効果が期待できます。

AIO対策とSEO対策は対立するものではなく、SEOの土台がしっかりしているサイトほどAIにも参照されやすい傾向があるため、両方の対策をしていくことをお勧めします。

具体的に大学サイトで取り組める施策としては、以下のようなものが挙げられます。

1、構造化データ(JSON-LD)の実装

HTMLの中にJSON-LD形式で情報を記述することで、AIや検索エンジンがページの内容を正確に読み取れるようになります。

技術的な作業はWeb担当者や制作会社への依頼になりますが、特に大学情報やQ&Aコンテンツへ適用することで、AI OverviewやChatGPTに引用されやすくなります。

大学サイトで特に有効と考えられるのは以下の2種類です。

大学情報構造化データ

大学全体の情報を伝えます。大学名、所在地、設立年など明示しておくことで、AIが大学情報を認識しやすくなります。

FAQ構造化データ

FAQコンテンツに適用することで、AI OverviewやChatGPTが「この質問への回答はこのページにある」と認識しやすくなります。

2、FAQページの作成・充実

受験生がAIに問いかけそうな質問をQ&A形式でまとめ、ページとして公開する施策です。

AIは「質問に対して明確な回答が書かれているページ」を引用しやすい傾向があります。
「学費はいくらですか?」「どんな入試方式がありますか?」「オープンキャンパスはいつ開催されますか?」といった質問への回答が、ページ内に明確なテキストとして記載されているかどうかが重要です。

新しいコンテンツを一から作る必要はありません。入試課や広報窓口に届いている問い合わせメールを見返して、よく来る質問をまとめるだけでも、十分なFAQページが作れます。

作成したFAQページに上記の構造化データをあわせて実装することで、AI検索・通常検索の両面での効果が期待できます。

3、一次情報・独自コンテンツの充実

在学生のインタビュー、国家試験や資格の取得実績、実習・研究の具体的な内容など、自大学にしかない情報を積極的に発信していく施策です。

AIが他のサイトの情報で代替できるような汎用的な内容は、引用される優先度が下がります。一方で、「この大学でしか得られない情報」は、AIが独自の情報源として引用したいコンテンツです。

効果的にするためのポイントは「具体性」です。
以下は具体性を持たせた文章の例です。

(変更前)充実したキャンパスライフが過ごせます
(変更後)3年次から週4日の実習があり、卒業生の85%が地元の病院に就職しています

このように、数字・固有名詞・体験談を含めることで、AIに引用されやすいコンテンツになります。

4、見出し構造の整理

ページの見出し(大見出し・中見出し・小見出し)を正しい階層で整理する施策です。

AIはWebページを読む際に見出しの構造を手がかりにページ全体の内容を把握します。H1(大見出し)→H2(中見出し)→H3(小見出し)という階層が整理されているほど、AIがページの構造を正確に理解しやすくなります。

見出しを「デザイン」で使い分けるのではなく、「このページで何を説明しているか」を伝える情報の目次として使用する意識が重要です。

さいごに

AI検索の普及は、大学サイトへのアクセス数に影響を与え始めています。
今回の調査で唯一アクセスが増加した大学Hの事例は、Display広告によって検索に依存しない流入経路を確保することで、AI検索の影響を補えることを示しています。

SEO対策が引き続き重要であることは変わりませんが、AIO対策や広告・SNSなど複数の流入経路を組み合わせていくことが、今後の大学広報にはより重要になってくるでしょう。

4つのAIO施策はいずれも大規模なサイトリニューアルを必要とするものではありません。まずはFAQコンテンツの整備や在学生インタビューの追加など、できるところから始めてみることをお勧めします。

この記事を書いた人

アーティス ブログ編集者
アーティス ブログ編集者
これまでご依頼をいただいたお客様にインタビューを行い、記事を作成していきます。
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