
先日、厚生労働省が主催する医療広告ガイドラインのオンラインセミナーに参加しました。
セミナーでの説明内容は、これまで厚生労働省が作成・配布してきたガイドラインや事例集を基にしており、特に目新しい情報はありませんでした。ただ、非常に多数の医療機関が参加しており、説明の後には質疑応答の時間が設けられていました。
今回は、当日行われた医療機関からの質問と回答をすべて記載するとともに、そこから見えてきた問題点についてまとめました。
セミナーでの質疑応答まとめ
セミナー内で回答された質問と回答は以下の通りです。
Q. 廃止の医療機関が広告看板を撤去しない場合、医療広告違反にあたりますか?
A. 誘引状態とは言い難いですが、公衆衛生上の問題が生じていると認められる場合には、保健所が行政指導を行って撤去等を求めることが考えられます。
Q. 睡眠障害の標榜が可能になるとの報道がありますが、当該専門医の広告はどうなりますか?
A. 現時点でお示しできるスケジュール等がないため、回答を控えさせていただきます。
Q. パンフレットをPDF等でホームページからダウンロードできるようにする場合、広告にあたりますか?
A. 誘引性および特定性を有する場合には、医療広告に該当します。
Q. 本日の資料は厚生労働省のホームページで交付されますか?
A. 現時点では未定です。
Q. 非医療主体が「安心インプラント」のような名称でサービスを展開している場合、規制や指導の対象になりますか?
A. 広告の規制は何人(なんぴと)にも適用されるものです。誘引性と特定性を有する場合には医療広告に該当します。
Q. 医療広告に該当するかを判定するチャットボット等が設置されれば有益だと思いますが、検討予定はありますか?
A. 現時点ではそのような予定は想定しておりません。
Q. 保険診療の場合、限定解除要件を満たせばビフォーアフター写真の掲載は可能でしょうか?
A. 広告禁止事項に該当するため認められません。ただし、術前または術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用、主なリスクや副作用等の詳細な説明を付した場合はこの限りではありません。
Q. 「最適・最先端」は最上級表現に該当しますか?
A. 誇大広告に該当する可能性がありますが、個別具体的な判断については所管自治体の判断になります。
Q. アーカイブ配信はありますか?
A. 後日、厚労省ホームページで録画を公開する予定ですが、変更の可能性もあります。
Q. 保険診療の場合、医療広告ガイドラインを踏まえなくてもよいのでしょうか?
A. 保険診療であっても、医療広告ガイドラインを適切に踏まえて広告する必要があります。
Q. 歯科の標榜科名に「予防歯科」がない認識ですが、広告掲載に使用しても問題ないでしょうか?
A. 医療法で定める広告可能な診療科名ではないため、広告は不可です。
Q. 「総合診療科」や「総合内科」を標榜しているところが多いですが、いかがでしょうか?
A. ガイドラインQ&Aの3-4にも示している通り、広告可能な診療科名ではないため広告することはできません。
Q. 作成した広告内容が適切なものであるか事前に相談できる組織や窓口はありますか?
A. 所管の自治体にご相談ください。
Q. 美容クリニックで「無料の肌診断に来てくれた方は〇〇プレゼント」とするのはガイドラインに該当しますか?
A. ガイドライン10ページにある通り、提供される医療の内容とは直接関係のない事項による不当な誘引については、広告を行うべきではありません。
Q. 医療機関から依頼を受けて内容を作成した場合、作成側にもペナルティは発生しますか?
A. 規制の対象は「何人も」であるため、広告代理店やアフィリエイター等も規制の対象とされ得ます。
Q. 現在公開している内容について、URLを伝えたら行政側で監視等をしてもらえますか?
A. ネットパトロール事業で取り扱い可能です。検索していただき、通報フォームから情報提供をお願いします。
Q. 表現内容に不安を感じた場合、自治体の保健所に相談して良いのでしょうか?
A. 所管の自治体にご相談ください。
Q. SNS等でのガイドラインはどうなるのか?インスタグラムでのビフォーアフター画像も引っかかるのか?ホームページ上でなければならないのでしょうか?
A. SNS等も規制対象です。患者自ら取りに行く情報については、限定解除の要件をすべて満たすことで広告可能です。詳細は事例解説書をご確認ください。
Q. 近日中にもこのような説明会は行われますか?
A. 近日中に予定している説明会は現時点ではありません。
質問した「約8年間でどのような効果があったか」は…
今回、自身からも「2018年からの約8年間でどのような効果があったか」という質問を投げましたが、多数の質問が寄せられているということで、残念ながら回答はありませんでした。
セミナーから見えた2つの問題点
今回の質疑応答の内容から、大きく2つの問題点を感じました。
1. ガイドラインの認知が進んでいない
質問内容を見ると、「保険診療でもガイドラインを踏まえるのか」「予防歯科は標榜できるか」など、これまで配布されてきたガイドラインや事例集を見ればわかる内容が多く見受けられました。
施行から時間が経っていますが、医療機関におけるガイドラインの基本的な認知がまだ進んでいないと感じました。
2. 所管の自治体頼みの対応
説明や質問への回答において、「厚生労働省ではなく所管の自治体に確認するように」という案内が多く、明確な回答とは言えない場面が多く見受けられました。
法律上、所管の自治体が管轄となるため仕方ない部分ではありますが、であれば自治体ごとに積極的な情報提供や、今回のようなオンラインセミナーを行っていかないと、ガイドラインの普及は進まないのではないでしょうか。
まとめ
今回のオンラインセミナー自体は非常に有意義であり、ぜひ今後も進めていただきたいと感じました。 そして今後は、所管の自治体単位での積極的な情報提供と啓発活動がなされることをお願いしたいところです。
この記事を書いた人
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鈴木 良直ソリューション事業部 部長
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大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。